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人生の最終章を充実させるのが、ケアマネジャーの大事な仕事

私は居宅介護支援事業所「月ぬ美(かい)しゃ」のケアマネジャー(介護支援専門員)です。「福の種」介護部門全体と地域を連携させ、適切なサービスを利用者さんにご紹介する調整役もしています。

ケアマネジャーは介護計画作成担当者。介護サービスが必要な地域の人たちを担当し、おうちで生活している人を訪ね、モニタリングして、サービスをコーディネートします。家で生活できなくなったら、小規模多機能型居宅介護につなぐなどしますね。

この仕事は、人脈、ネットワークでつながっていくんです。一度お仕事させていただいた方が他の方に紹介してくださるとか、病院さんからとか。その繰り返し。

 

ケアマネの職業倫理として、公正中立という立場がありますから、いくら私が「福の種」に所属していたとしても、ここのサービスが合わないと判断したら、よその事業所さんを紹介します。利用者さんの利益尊重が第一なんです。今、30人以上担当していますが、「福の種」のサービスを使っているのは1割くらいでしょうかね。

私たちの仕事には、営業・広報的なことも含まれていると思うんですよ。例えば私が利用者さんに「福の種」以外のサービスを紹介した場合でも、利用者さんには「福の種の月ぬ美しゃ」という存在がインプットされます。それがいつか、別の形でつながるかもしれない。一つ一つの人脈をつないでいくのがケアマネだし、会社の名前を少しずつ周知していくのも仕事かなと考えています。

一緒に考え、適正なサービスを紹介する

利用者さんは、どこに本当の問題があるのか、何に一番困っているのか、意外に気付いてない方が多いので、それを見つけて一緒に考え、適正なサービスを紹介すると「ありがとう」って言われたり、先日は無表情だった利用者さんが今日は目を見て笑ってくれたりとか、そういうささやかな喜びがこの仕事のやりがいですね。

うちの社長も言っていますが、ケアマネさんによって人生が変わることもある。私たちがお会いするのは、人生の最終章を迎えられている方たちです。ぴったりのケアマネに出会えれば、最終章も充実したものになりえます。もちろん相性がありますから、ご本人とご家族が申し出れば、ケアマネをチェンジすることもできます。でもみなさん、その制度自体をご存じないんです。高齢者の方は「お世話になっているから申し訳ない」と遠慮して言い出せない現状もありますね。

楽な仕事ではありませんし、どうしても問題は発生します。それを「しんどい」と思ってしまったら、苦しむだけじゃないですか。私はできることを、楽しみながらやるようにしているんです。

それにやっぱり、この仕事が好きだから、長年続けられているんですね。家族でもない人間が、その方の人生の最終章に関われるって、めったにないことです。ご縁があってお目にかかった方には、ご出身地やご家族、学歴やお仕事など、今までの生活史や生き様、考え方を一つでも多く聴かせていただきたいと毎回思います。この仕事をしているから、他の方の生き方、人生ドラマを知ることができる。認知症が進行して、ご自身の思うことをうまく言い表せなくなっても、その方の生き方や考え方を知っていると、想像することができます。

自宅で最期を迎えられた、利用者さんの現場で感じたこと

最近、長年担当していた女性の看取りをさせていただきました。転倒して骨折し、入院中に危篤状態になってから持ち直しましてね。ご家族とも親しかったので、最期は家で看取りたい、おばあちゃんも家に帰りたいんだろうと察してはいたんですが、立場上、こちらから提案することはできません。でもいざ「帰る」と言われた時には迅速に対応できるよう、頭の中でシミュレーションしていました。

そしたらご家族が「家で最期を看取る」と決断されたんです。私がさっと段取りして進めたら「早く調整してくれてありがとう」とご家族が言ってくれました。亡くなるまで一週間でしたが、プランニング通りのサービスを提供し、本来ケアマネはそこまでしなくてもいいんですが、こまめにお宅に顔を出して、体調の変化を確認し、できるだけおばあちゃんが快適に過ごせるよう、医師の訪問診療のタイミングで状態を情報提供したりと、きめ細かい対応をしました。

 

ご本人もご家族も、心の中で死への準備をしていることを、訪問するたびに感じました。おばあちゃんは食べ物をもう飲み込めない状態でしたが、好物をご家族が配慮しながら口に含ませてあげると、嬉しそうに喉を鳴らす様子を見せてもらったりして。おばあちゃんにこれまで関わった事業所にも連絡したら、スタッフが短時間ですがおばあちゃんに声をかけに来てくれて。一週間かけて、ご縁のあったみんなとお別れし、ご家族に見守られながら息を引き取られました。亡くなられた後、きれいにお化粧を施され、お気に入りの服を着せてもらったおばあちゃんを見て、ご家族が「みんなで写真を撮ろう」とおっしゃってね。ベッドの背を少し起こして、座っている姿勢のおばあちゃんをご家族が囲んで撮影しましたが、みなさん、ものすごくいい笑顔だったんですよ。

「ああ、すごいな」って感動しましたし、その空間に自分がいられたことも、それまでの一週間に関われたこともすごくうれしくて、「やっぱりこの仕事をしていてよかった」と実感しました。

こんな風に住み慣れたご自宅で最期を迎えるのが一番いいのでしょうが、それが難しくても、せめてうちの施設のような、病院より普段に近い環境で旅立っていただきたい。その思いで社長もさまざまな施設やサービスを立ち上げたのだと思います。

親や親せきにも利用してほしいと
心から思える施設とサービスを目指して

「福の種」の「ケセラ介良」は、小規模多機能型居宅介護と住宅型有料老人ホームの2つの施設で、介護度3以上の方が利用されます。本来は必要ない理学療法士や作業療法士も配置していて、「生活リハビリ」に重点を置いているところが特徴です。また施設のある場所の景色が素晴らしくて、なんといっても提供される食事が本当においしい。地元の旬の食材を使っています。

「アルコ」は介護度の低い方たちが対象です。3時間15分のサービスですが、学習療法やパワーリハビリ、笑いヨガなど「あたま」「からだ」「こころ」の3つに働きかけるデイサービスです。今後ますます大事になる重度化予防に力を注いでいますね。認知症対応型「アルコあるこ」は、認知症リハビリテーション協会の特別なプログラムも提供しています。パワーリハビリは脳の活性化にも効果的だという調査結果が出ているんですが、あまり認知されていないので、このサービスで周知を広げる意図があります。

「福の種」は保育部門も含め、利用者さんへは基本的に敬語を使うように、社長から指示されています。「です、ます」でいいので語尾をきちんとすること、特に年長の方には敬意を持って接するというのが全体の取り決めです。社長が職員に対して率先して敬語を使うので、スタッフも自然にそうなります。

「自分の親や親せきに自信をもって利用してもらえる施設とサービスを目指す」が社長の信条。

利用者さんはもちろん、「福の種」にも、世の中のみなさんにも役に立てるよう、これからも日々、精進していきます。